9 まとめ

本研究では,まず,Webサービス開発におけるリクエスタ主導のテストにおいて, プロバイダのブラックボックス的性質が,内部情報を必要とするテストケースを 作成不可能たらしめていることを指摘した.

この問題を解決すべく,Webサービ スのプロトコルで利用可能な,内部情報の取得および内部動作の制御を実現する システムを設計,実装した.本システムは,実行時コード変換技術を用いてリクエス タが用意したテストツール一式を内部にフックすることで,リクエスタ主導の テスト要件定義と,テスト要件に必要な内部情報の収集を実現する.

本システム の実装にあたり,最も重要な要素技術である実行時コード変換技術は,実行環境 としてJavaプラットフォームを,コード変換器としてJavassistを採用した. 本システムを用いて作成したテストケースを実行し,内部状態の取得を試 みたところ,正常および異常シナリオのいずれにおいても,期待通り結果が得ら れ,問題点の解決に有効であることを確認した.

ただし,本システムの解析対象 に含まれない実装またはプロトコルを内部で使用している場合や,実行時にバイ ンドが決定されるクラスオブジェクトに関しては,有効でない.また,本システ ムを用いることで,リクエスタサイドからプロバイダの各ビヘイビアに対し,事 前条件と事後条件を追加定義できる.これは,プロバイダが定義した各条件の範 囲内で,リクエスタのテスト要件を条件という形態で付加することに等しい.

本研究を遂行するにあたっては、 いろいろな方々にお世話になりました。

まず、指導教員の村山隆彦先生には 日頃から熱心なご指導、そしてご鞭撻を賜わりました。 ご多忙中にもかかわらず論文の草稿を丁寧に読んでくださり、 大変貴重なご助言をいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。 また、厳しくも貴重なご意見、適切なご助言を頂いた多田研究室の多田好克先生 と佐藤喬助手に感謝いたします

そして、本研究が行なえたことは、 研究方針や方法論について議論をし、 共に研究生活をおくってきた村山研究室と多田研究室の学生諸氏のおかげでもあります。 最後に、これらの皆さんに感謝いたします。

MITSUBAYASHI Shin 2007-03-14