修論タイトル:「社会ネットワークにおけるユーザの属性と振舞を用いたコミュニケーション支援システム」 (2007年度 修士論文)

氏名:古川 潤

概要:


 近年、SNS (Social Networking Service)の登場によりWeb上でのコミュニケーションは非常に活性化され、その参加ユーザも増えてきた。しかし、情報発信者が増えることでWeb上の情報は増加し、自分が求めているものを見つけることが難しくなっている。また、SNSのようなユーザ登録型のサービスでは匿名性を排除することで悪意のあるユーザを抑制しているが、顔の見えない相手とのコミュニケーションに付きまとう不安は解消されていない。

 このように、コミュニケーションを支援するという面でSNSは非常に大きな成功を収めているが、いまだに解決されていない問題もある。本研究では特に、情報発信者の増加、顔の見えないコミュニケーションという2点に注目し、Web上でのコミュニケーションを活性化するためのコミュニケーション支援システムを設計した。

 本システムは、ユーザの属性と振舞を用いることでSNS内における円滑なコミュニケーションの発生を支援する。属性とは、ユーザの興味情報をその日記から抽出したもので、属性一致度を求めることでユーザ同士の興味の近さを求める。振舞とはユーザのSNS内での活動情報からコミュニケーションへの積極性を算出したもので、推薦した相手が適切に応答してくれることを推測するための指標である。この属性と振舞を用いることで、話が合いコミュニケーションの発生が見込めそうなユーザを推薦し、コミュニケーションの活性化を実現する。

 提案した手法の有効性を検証するために、システムの実装を行い実際にSNSから情報を取得しての実験を行った。友人関係にある人達に本システムを適用したところ、友人関係にある者同士であっても属性が近いわけではないということが分かった。実際の推薦では、属性一致度に高い値が得られなかったが、興味情報の抽出精度や抽出対象である日記の範囲を変えることで、ある程度的確なユーザの推薦が行えそうであることが分かった。さらに、振舞によるフィルタリングを行うことで、コミュニケーションに活発なユーザを導き出すことができた。


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