修論タイトル:「センサと扇風機群の配置に依存しない室温の動的制御システム」 (2007年度 修士論文)

氏名:三好 晴樹

概要:

 近年,センサを用いたシステムが様々な分野で導入されてきている.中でも,温度センサを用いたセンサシステムの代表的な例として,空間にセンサを複数配置し,各センサの位置の温度監視を行うシステムが存在する.また,一定以上の温度を感知すると自動でエアコンや暖房機などの空調機器を制御することで,対象のセンサの観測温度を利用者の要求へ近づける機能を持った「温度制御システム」も存在している.「温度制御システム」は導入にかかる設計や設定のコスト,また,金額面での負担が大きくなるため,本当に厳密な温度監視が必要な場所以外では,導入することが難しいのが現状である.
 そこで本研究では,温度センサと扇風機を用いることで,効率的な温度調節が可能となる室温の動的制御システムを提案する.本システムは,金銭面や導入するシステムの設計時に必要となる設定コストの関係で,温度制御システムを導入できなかった環境にも,気軽に導入してもらえるようなシステムを目指す.具体的には,利用者によるシステムに関する設計や設定を行う手間を極力減らすことを目的とし,部屋の形状やセンサの設置場所といった,空間情報の入力が一切必要ないシステムを提案する.システムは扇風機の稼働による温度変化をフィードバックし,動的に制御方法を変えることで室温制御を行う.システムの制御方法の学習には進化型計算を適用することで,扇風機の風向や風量を動的に変化させながら室内環境の変化に対応していく仕組みになっている.
 本研究では,提案システムの性能評価とアルゴリズムの改良を目的として,様々な環境でシミュレーション実験を行った.そして,シミュレーション実験の結果を踏まえ,改良したアルゴリズムをシステムに実装し,実世界での実験を行った.実験結果から,部屋の一部の温度を優先的に上げたり,空間内の温度を均一にするといった利用者の要求に対して,一定の成果をあげることに成功した.

原稿:

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全国大会タイトル:「センサと扇風機群の配置に依存しない家庭向け室温制御システム」 (2008年 情報処理学会 第70回全国大会)

概要:

 現在,多くの家庭に室内の温度調節を目的としたクーラーや暖房機などの温度調節機器が設置されている.しかし設置された温度調節機器だけでは,部屋の特定部の温度を下げる等の細かい温度制御を行うことは難しい.
 そこで本研究では,温度センサと扇風機を用いることで,効率的な温度調節が可能となる室温制御システムを提案する.システムの特徴として,従来の制御システムを導入する際に必要となる,部屋の形状やセンサの設置場所といった,空間情報の入力は一切必要としない.実装には遺伝的アルゴリズムを用いることで,風量や風向を動的に変化させながら室内環境の変化に対応していく仕組みになっている.



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