修論タイトル:「ノードの稼働パターンを考慮したP2Pバックアップシステムの設計と実装」 (2007年度 修士論文)

氏名:黒澤 研吾 <kurosawa@spa.is.uec.ac.jp>

概要:

データのバックアップは、古くから行われている作業であり、重要である。磁気テープや光ディスクなどのバックアップ用の記憶メディアでは、記録できる容量に制限がある。また、それらを管理するコストも発生する。
そこで、本研究では、P2P(Peer-to-Peer)技術を利用してファイルのバックアップシステムを構築する。各ノード(ユーザの計算機)をネットワークで接続し、空きハードディスクを共有化することができれば、共有バックアップシステムとして活用できるのではないかと考えられる。また、複数のハードディスクを使用することで、データの冗長性を保つことができ、バックアップメディアとして適切であると考えられる。
しかしながら、P2P技術を利用したバックアップシステムでは、各ノードは常時稼働しているわけではなく、稼働状況が定かでない。そのため、ノードの稼働状況によっては、バックアップしたファイルをリストアするのにかかる時間が変わってくる。そこで、ファイル転送にかかるコストとリストアにかかる時間を減らすために、ノードの稼働状況を利用したシステムを構築した。
稼働状況は、人間の生活リズムを利用した。人間の生活リズムは、「日」、「週」などの単位で周期的に繰り返されていることが多い。そこで、個人が利用するノードは、人間の生活リズムに相関があると考え、将来のノードの稼働状況を類推することにした。ノードの稼動予想を類推するために、ノードの稼働状況を自動的に取得し、曜日毎で自己相関係数を適用した。類推された稼働予想は、ファイル配置・転送を行う際の情報とした。その情報を元に、時間毎に一番長く同時並行稼動する4つのノードを1グループとしてグループ化を行い、ファイル配置・転送を行う。
本研究では、P2P技術を利用した基本的な機能と稼働状況のプロファイリング方法、ファイルの転送方法について設計した。この設計を元に、本システムで扱うユニークなファイル名の形式、稼働状況のプロファイリング方法、ノードのグループ化によるファイル配置・転送方法の実装を行い、動作することを確認した。さらに、本システムの実験を行い、考察した。その結果、人間の生活リズムを考慮した本システムのアルゴリズムの有用性を示すことができた。


本文:

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