修論タイトル:「モバイルデバイスを用いた災害情報共有システム」 (2012年度 修士論文)

氏名:蛭田 瑞生

概要:

2011 年3 月11 日,東日本大震災が発生した.被災地域は宮城県,岩手県,福島県など東北地方を中心に広範囲に及び,死者は1 万5 千人にまで達した. 電気、水道といったライフラインにも障害が発生した.こういった大規模災害発生時においては,多くの被災者が避難生活を強いられる. 被災者が安全かつ効率的な避難生活を送るためには,生活物資や危険な地域などに関する災害情報の収集,及び共有を行う必要がある. 東日本大震災では携帯電話等によるインターネットを利用し,災害情報の収集と共有が行われた. しかし,災害発生直後より輻輳や基地局等の損壊によりネットワークが利用不可能になり,被災地を中心に災害情報の共有ができなくなる状況が生じた. ゆえに,被災地において災害情報の共有を迅速に行うためには,通信インフラに依存しない災害情報共有システムが必要である.

本システムでは,避難所サーバーを用いずに情報共有を行う.そのために,被災者が所持するスマートフォン等のモバイルデバイスを活用する. 管理者は,避難所に避難した被災者のうち,スマートフォンを所持している人を集め,災害情報の受取,整理,配布等の役割を割り当てる. ここで,管理者は当該の避難所を担当する自治体職員等を想定している. 役割を割り当てられた被災者はボランティアのスタッフとなり,自身のスマートフォンを用いて役割をこなす. 管理者は,スタッフの移動やスマートフォンのバッテリー切れ等により,システムの運用に支障が出ないよう,余裕を持って随時スタッフを任命する. 一般被災者はスタッフの指示に従い,災害情報を取得・提供する. また,システムの稼働に必要最小限のスタッフ数を算出することで,効率的なスケジューリングが可能となる.

本システムにより,通信インフラが使えず,また避難所にサーバーが無い状況にお いても,避難所内で災害情報を共有できる.


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