修論タイトル:「ブラウザを用いた複数ユーザ動画制御共有ツール」 (2012年度 修士論文)

氏名:西尾 信吾

概要:

近年では,インターネットの普及により画像や音声,動画,ドキュメントなどの様々なデジタルコンテンツを共有できるようになった.特に,動画の共有はYouTubeや,ニコニコ動画などの動画投稿サイトの台頭により,様々な人々と動画を共有することが一般的になった.しかし,これはリアルタイムに同じ動画を視聴するのではなく,単に違う時刻に同じ動画を見ているだけである.リアルタイムに同じ動画を見る形式として,USTREAMやニコニコ生放送などのライブ配信型の動画投稿サイトがあげられる.ライブ配信型の動画では,リアルタイムに同じ動画を見ることができる一方で,視聴している動画に対し,自由な時刻に動画の再生を開始することや,自由に再生停止や再生位置変更などの操作を行うことはできない.

デジタルコンテンツの共有をリアルタイムに行う研究やサービスが幾つか行われている.専用のソフトウェアのダウンロードやインストールを必要としているものや利用者の負担を削減した一般的なWebブラウザを利用したリアルタイムのデジタルコンテンツの共有システムが提案されている. 本稿では,一般的な Web ブラウザを利用して,遠隔利用者間でリアルタイムに動画を共有し,動画に対し全ての利用者が再生停止や再生位置の変更を可能にすることで,利用者のコミュニケーションを支援する動画制御共有システムの提案を行う.

本システムでは,JavaScriptを用いた実装により「リアルタイム操作の達成」,サーバ側での逐次処理による「複数の利用者による操作を可能にする」,一般的なWebブラウザのみによる実現で「利用者の負担を低減する」,利用者間で変更される度に動画の再生時刻を同期させることで「同期のずれを許容範囲に抑える」の4つ「」で示した要求条件を実現する設計と実装を行った.

そして,本システムの利用者が増加した際に,共有サーバで本システムがどの位のメモリ,CPU を利用するかの測定や,本システムがどの位の利用人数まで耐えうるかの負荷実験を行った.また,視聴部屋内の利用者の一人のネットワークに遅延を掛けた場合に,どれほど動画の再生共有に影響が出るのかの測定を行う遅延実験による利用者間の動画の同期のずれが大幅なネットワーク遅延がない限り,2秒以内に抑えられるということを幾つかの利用例に基づき示した.


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