修論タイトル:「M2Mにおけるデバイスへの統一アクセス手法」 (2013年度 修士論文)

氏名:中原 祥吾

概要:

近年, 有線や無線ネットワークの進歩に伴いM2M(Machine-to-Machine)通信も普及している. M2M通信とは, 人間の手を介在せず, デバイス同士を通信させる仕組みやコンセプトのことである. M2M通信を用いることで機器の自動化制御やスマートハウス構築などといったM2Mアプリケーションを開発することが可能となる. 例えば, 自動車のブレーキが踏まれた位置を収集し, よく踏まれている場所では, 速度を自動で制限するシステムが研究されている. またこのシステムでは, 収集した情報を地図上で利用することにより, 急カーブの場所や見えにくい信号機などといった危険な場所を早期発見するサービスを提供することもできる. このように, M2Mアプリケーションは, M2M通信を行うことで発生したデータを用いることにより, 新しいサービスやビジネスに繋がっていく可能性があるため, 期待されている.

しかし, M2Mアプリケーションを構築するためには, 通信方式や制御方式が異なる様々なデバイスを使用することを考慮しなければならない. そのため, M2Mアプリケーション開発時には, デバイス毎に処理を作成する必要がある. したがってM2Mアプリケーションが肥大化し, 複雑となる要因となるため, 開発時のネックとなっている.

そこで本研究では, 通信方式や制御方式が異なる様々なデバイスに対して, 共通の方式でデバイスにアクセスするため手法を検討した. 提案手法では, ホームICT基盤などでデバイス管理のために利用されているOSGi(Open Services Gateway initiative)というフレームワーク上に REST(REpresentational State Transfer)を用いてデバイスにアクセスできる機構を実装した. RESTとは, Webサービスにアクセスする際に利用されているアーキテクチャである. RESTをデバイス操作に割り当てることにより, Webを操作する感覚で通信方式や制御方式が異なる様々なデバイスの操作が可能となる.

評価のために, 家庭エアコンを自動制御するサンプルM2Mアプリケーションを構築し, 本システムを介した場合と介しない場合とのM2Mアプリケーションのコード量を調査した. その結果, 本システムを介した場合, 必要となるコードは, REST処理だけで済み, 介しない場合と比較して大幅に削減できることを示した. 更に, 本システムを介した場合の通信ボトルネックを調査するために大量のリクエストを送信し, CPUとメモリ使用量を調査した. その結果, ホームICT基盤などで用いられているパフォーマンスの低いマシン上でも動作可能であることを示した.


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