修論タイトル:「『気付き』を誘起する忘れ物防止支援システム」 (2014年度 修士論文)

氏名:山本 峻丸

概要:

忘れ物をした経験は誰にでもある.日々必要な財布や携帯電話から,会議のための事前配布資料,雨の日における傘まで,忘れ物の種類は非常に多岐にわたる.「うっかり」忘れてしまうことを防ぐべく,記憶の補助をしてくれる秘書のような存在,すなわち外部脳が求められていると言える.

「忘れ物」という課題に着目した,パーソナルな持ち物管理システムはこれまでも数多く提案されてきた.多くがRFIDシステムを利用して持ち物の管理をしており,システム内の持ち物表と現在持っている物を比較し,外出しようとしているタイミングでシステムが警告を出すといったものである.しかし,これらは未だ一般に利用されるまでには至っていない.これは,2つの手間が理由なのではないかと考えた.1つめは,英数字の羅列であるRFIDと物の名称の対応表を作る手間.2つめはどんな予定がある時にどんな物が必要であるかという表を作る手間である.「忘れ物」という,生起頻度の低いことに対してかける手間としては,2つの表作成という作業はあまりに大きい.

そこで本研究では,「忘れ物があるか」「その忘れ物はどのような時に使うものであるか」という2点をユーザに提示すれば,忘れ物を効率的に防止出来るのではないか,という仮説を立てた.忘れ物が存在することをユーザに提示し,荷物の再確認を促すという機能だけに絞ることで,前述のような表作成を不要とする手法を提案する.この手法では,具体的な忘れ物の名称をユーザに提示することをしない代わりに,どのような時に必要な物であるかをユーザに提示し,忘れ物への気付きを誘起することに焦点を置いている.システムから「『◯◯』で使う物をお忘れではありませんか?」というようにユーザに問いかけることで,ユーザに持ち物の再確認を促すのである.

また,従来の提案ではRFIDリーダをゲート型にして,家の玄関などに設置することで持ち物を管理するものが大半であった.しかし,近年のスマートフォンではNFCリーダが内蔵されているように,今後,アプリケーションの発展次第で他の周波数帯のRFIDリーダもまた内蔵されることが期待できる.これを踏まえて,本研究ではユーザがRFIDリーダを持ち歩く方式を提案した.


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